ソーシャライザーさん一家に連れられ、長崎県大村市の訓練施設に戻った。
あの時僕を抱き上げてくれた女の人が何者なのか、今はっきりとした。
毎日、飴と鞭で躾けられた。訓練は厳しかったけど、生活はとても充実して楽しかった。
僕と同じくらいの白い犬も、一緒に訓練が始まった。
この娘の名前は「羽乙」といった。ちなみに僕の名前は「武」です。
羽乙は要領がいいのか、いろんなことをすぐに覚えた。
僕は不器用でなかなか覚えられない。
毎日が比較され、辛い時もあった。そんなとき支えてくれたのが、
普段はとても怖い体のちっちゃな白い犬「チロ」姉ちゃんでした。
あっちこっちにデモ犬として飛び回っている。
聴導動作をいとも簡単にやってのける。僕のお手本だ。
それと、茶色の犬「ロック」おじさん。お父さんのように僕をやさしく、
強く支えてくれた。
訓練を初めて間もなく1年を迎えようとした頃「羽乙」が雲仙市の方へ
引き取られていった。僕より優れていたけど、人に対してなかなか馴染めず
聴導犬にはむいていないみたいだった。
一緒に頑張ってきたのに残念だ。
